【福利厚生費】税理士視点で教える節税方法と間違えやすいポイントをご紹介

税金対策

「福利厚生」、サラリーマンの方は職場選びの1つの柱になる程、従業員の満足度を上げるために、必要不可欠なテーマです。

会社にとって、何をどこまで福利厚生費にすることができるのか?
具体例と注意事項を交えながら解説していきたいと思います。

福利厚生費とは

まず、「福利厚生費」とはどういった費用が挙げられるでしょうか?

これは読んで字のごとく、従業員のための福利厚生として使用した経費が「福利厚生費」となります。

一番わかりやすい例でいくと、従業員の懇親のために、食事会を開いたり、従業員がオフィスでコーヒーを飲めるように、コーヒーサーバーを設置したり。

それから、従業員やそのご親族にとってお祝い事や不幸があった場合に支払う物品金銭も福利厚生費の対象となります。

具体的には以下のような支払いです。

  • 歓送迎会や入社式、周年などの、社内行事にかかる費用
  • 従業員が使うためのオフィス備品の設置費用
  • 結婚や不幸などの慶弔金
  • 従業員の健康診断費用
  • 社員旅行の費用
  • 従業員がスキルアップするための研修費用

間違えやすい注意点

社外の人が含まれていないか

例えば、ゴルフ懇親会を開催するとき、社外の人も招待していた場合、社内の懇親が主のつもりで開催していても、税務署の見方によっては社外の人との「交際費」と見られてしまうかもしれません。

交際費には、中小企業だと800万円という枠が決まっているので、上限のない福利厚生ではなく、交際費ではないか?と指摘される可能性があります。

ただし、交際費が800万円に到底満たない可能性がある場合は、結局は経費として認められるので、リスクとはならないでしょう。

現金支給をしていないか

慶弔金は現金でお渡しするものなので、慶弔金に関しては現金で問題ありません。
それ以外の例えばコーヒーサーバー設置費用として、「買っといて」と2万円渡した場合、「福利厚生費」とは認められない可能性があります。

この費用を渡した場合、これが給与とみなされてしまう可能性があるのです。

給与とみなされてしまった場合、その従業員の所得が増え、所得税や住民税を多く支払う必要が出てきてしまいますので、会社が買って、その領収書をもとに費用とするように心がけましょう。

また、たまにあるのが、例えば「会社に時計がないので、従業員に某ブランドの腕時計をプレゼントしました」と言うケース。

確かに、現金支給でもなければ、従業員の業務に直接必要なもののようにも思います。

しかしこれは、必要以上の支出です。こうした過度な贈答物の場合、「給与の現物支給」と捉えられ、先ほどと同じく、給与として所得税や住民税が課せられてしまいますので、ご注意ください。

平等に権利を受けられるか

意外と抜けがちなのが、平等に全ての従業員が権利を受けられる環境かどうか。

例えば、社員旅行や健康診断を開催するとして、参加できるのは正社員のみでアルバイトには声掛けしない。
あるいは、社員の一部のみが招集された飲み会、など。

こうした支払いは、ぱっと見では「社員のために必要な経費」と言うふうに捉えられそうですが、肝心な平等性が欠けていますので、受けた人に対する給与とみなされるリスクがあります。

「すべての従業員が行きたいと言って参加が可能な状態だったか」

この視点がクリアできているかが大切です。

華美なものでないか

極端な例ですが、例えば、1億円の利益の会社が全体で数千万円かかるパーティや旅行を2回も3回も行っていた場合、せっかくあげた利益がたった数日でほぼなくなってしまいます。

これは、法人の一番の目的「営利」を無視した行動ですし、税務署からしてみても税金を減らすための利益調整と受け取れます。

これが認められれば、どこの会社も決算間近に節税と謳って旅行に行きまくり、日本の歳入が大きく減少することとなってしまいます。(一方でこれで経済が活性化されるという説はありますが…笑)

ですが、やはりこれはルールでダメと明確に決められていますので、客観的に見て一般的な費用感、頻度であるか、などにも注目していただければと思います。

個人事業主の福利厚生費

「個人事業主は個人だから、法人じゃなければ福利厚生費は使えないよ」

そんな声を少なからず聞いたことはありますが、正解と言えば正解ですし、間違いと言えば間違いです。

厳密には、「自分以外に従業員がいるかどうか」が肝になってきます。
これは法人でも同じです。

個人でも法人でも、自分以外の従業員のために何か支払いをしていれば、「福利厚生費」ですし、自分以外の人がいなかったら、福利厚生とはなりません。
(例えば、自分一人しかいないのに、健康診断に行く場合、それは私的な費用ということです。)

(極秘)税理士法人では言えないアドバイス

実際に税理士法人にいて、相談を受けた内容等をもとに、グレーな解決策を紹介します。
(税務調査を何度も経験すると、こうした視点が養われていきます。)

もちろん“これで確実に経費化できる”というものではないので、こういう戦略もあるんだな、というぐらいで見ていただけると良いかと思います。

私的な旅行・一部メンバーのみの旅行

私的な家族旅行や、一部メンバーのみで行った旅行などを経費にしたい。
税金が安くなるならそれくらい考える社長も当然います。

もし私なら、
「新規事業の視察でいった。現地での交通費や飲食費も、現地の人と行った」
と主張し、社内の人のみ経費にするかと思います。
(家族の分も入れると、宿泊施設の領収書に宿泊者氏名が載る可能性があるので注意が必要です。)

金額が高い旅行代

海外旅行などはどうしても金額が高くなってしまうので、華美な旅行と捉えられるケースがあります。

もし私なら、
予算として目標売上額を年初に定め、「達成したら海外旅行」と従業員全員で高め合ってきた。
結果、目標を大きく達成することができた。これは決して無駄に高い旅行ではない。
と主張するかと思います。

社員の運転免許

社員の運転免許は、ないと仕事にならない場合のみ、経費として認められます。
特に地方はこれがないと仕事にならないですよね。

税務調査の視点では、「その会社が車を持っているか」が論点になったりします。

もし私なら、
逆転の発想で、車を持っていない会社でもレンタカーを数回のみ利用し、車でないと行くのが難しい、新規取引先が増えそうだった。営業したが、成約にはならなかった。
と主張するかと思います。

NetflixやApple music

家で使うネットフリックスなどもできれば、経費にしたいところ。

もし私なら、
「会社のPRでYouTubeを立ち上げるため、映像の知識をインプットしてもらいたかった」
「従業員に昼休憩中などに好きに見てもらうために契約した」
と主張するかと思います。

まとめ

福利厚生費は事業と直接関わりづらい内容であるため、私的費用と混ざりやすい項目です。

もし「経費とはならない」と指摘されてしまった場合は、従業員の所得税等が増加する可能性もあるので、進捗な判断が必要です。

改めて以下の福利厚生費の重要なポイントを確認しておきましょう。

  • 目的が従業員の慰安のためであること(社外の人が含まれている場合は交際費になります。)
  • 社内の行事、従業員もしくはその親族のお祝いやご不幸に対する支出であること
  • 社内の全員が平等に受けられる権利があること
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