起業したての頃によくある質問の中に「月々のスマホ代は経費にしていいですか?」という質問があります。
結論としては”Yes”ということになりますが、法人の場合、個人事業の場合で、それぞれ経費にするためのコツがありますので、それぞれ解説していきたいと思います。
個人事業の場合
個人事業主の場合、普段これまで使っていたスマホを「仕事でも使っているから」と、全て経費にしてしまいたい気持ちはよくわかります。
が、これはオススメできません。税務署から指摘されることが多いからです。
もし税務署から指摘を受けた場合、例えば月々の支払額の50%を経費から外すように言われてしまいます。
そして、経費から外した分、事業の利益は増えます。ということは、払う税金も増えます。
それだけならいいのですが、“加算税“や“延滞税“と呼ばれるペナルティも余分に払う必要が出てきます。
こうしたことにならないためには、以下のような予防策が有効です。
- スマホを事業用とプライベート用で分ける
- あらかじめ按分して経費にしておく
わかりやすいのは事業用スマホ・プライベート用スマホ、という風に携帯をわけてしまうのが、客観的にみてもわかりやすいのでオススメです。
でもこれ、私もやったことありますが常に2台を持ち歩くって、案外荷物にもなって面倒くさいです。
なので、オススメはあらかじめ按分して経費にする方法です。
これの何がいいかというと、税務署に指摘された場合は50%に落ち着くことが多いのですが、この割合を自分で決められるということです。
例えば、「週7日間のうち5日間は仕事があるから、およそ70%は事業用に使ってます」というある程度計算根拠を説明できるような比率を出しておけば、税務署も強く否定はできないのです。
私は税務調査などは何度か経験がありますが、事前に按分しているかいないか、というのは税務署の姿勢が全くと言っていいほど違います。
また、先ほどのように「これこれこういう理由だからこの割合にしました」と言えるようにしておくと、無理のある説明でない限りは、大体OKが出ます。
法人の場合
法人は、原則的な考え方として、社長や従業員とは別の人格、という点がポイントになります。
社長や従業員は会社に所属しているので、その屋根(会社)の下であれば1グループと考えがちです。
なので、「会社の人間が使ったから経費」と捉えがちです。
しかし、法律の下では会社と個々人は別の人格という扱いになるので、経費も正しくは「会社にとって必要な経費かどうか」ということになります。
この「会社の人間にとっての必要経費」「会社にとって必要な経費か」というのは非常に考え方を混同しやすく、社長が普段から使っているスマートフォンの月々の支払いなどは、この代表例と言えます。
ではどうすれば良いのか?
答えは、「会社名義ならOK、本人名義はNG」です。
個人事業主とは違い、法人名義で契約しているだけで、事業用であることが証明できるのです。
もし仮にプライベートで使用していたとしても、法人名義であることから、個人的な利用はありません。と言われてしまえば、税務署もそれ以上は追求が難しいのです。
個人事業主は個人名義でしか契約ができないので、2台持ち出ない限り、事業とプライベートの境界に主観が入ることになりますが、そこを介入させる隙が生まれないのが、法人のメリットになるといえるでしょう。

Wi-Fi代金はどうなる?
ここまでお読みの方はもうある程度、おわかりかもしれませんが、wi-fiも携帯電話と同様です。
「誰が契約しているか」「代表者名義で契約している場合は按分して経費にしているか」
ということが重要になってきます。
ですが、wi-fiを新たに契約するのであれば、
「これまでWi-Fiは不要だったが仕事で使うから契約しました」
という理由で全額経費にしても良いかと思います。
最近では家にWi-Fiがない人の方が珍しいので、自宅のWi-Fiは按分で経費に。
ポケットWi-Fiが必要な場合のみ、追加で契約して全額経費にする、という方法が賢いかもしれませんね。